>>> 018 . 拍手2 START-LINE



 初めての口付け、初めての夜。
 初めて触れた君の身体はやわらかく、あたたかく、心地よかった。

 初めての口付け、初めての夜。
 初めて貴方に触れられた箇所が、自然と熱を帯びていくのが少し怖かった。

 きっかけは何だった?君は覚えてる?
 覚えてない。覚えていたとしても、きっとすぐに忘れるわ。

 わかってる。それほど他愛のないものだったって事は、オレも感じてる。


「桐子!」

 名前を呼んで、腕を掴んで。

「何?」

 名前を呼ばれて、振り向いたら腕を掴まれて。

「あぶねぇっ…よそ見して歩いてんじゃねーよ」
「何よ、あんたが急に呼ぶからでしょ」

 名前を呼んだら君は振り向いて。
 そしたら狭い路地から急に車が出てきて。
 だから腕を掴んで。
 引き寄せられて。

「ちょっと…いつまでそうしてるつもり?」
「え?あ…わ、わりぃ」

 引き寄せて、その華奢な身体を守るように。
 胸元に、抱き寄せられていた…

 離れようとした…けれど、君の身体から甘い香りがして、動けなくなった。
 肩を抱く腕に力が篭るのが、分かった。

「緒沢?」
「桐…」

 オレを見上げる君の瞳に、オレが映るのが見えた。
 吸い込まれるように、重ね合わせた唇を、君は拒む事無く受け入れた。


 それが全てのはじまりで、もしかしたら終わりかもしれない。
 以前のようには戻れない、予感を感じた。



FIN

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これまたずぅっと前に拍手画面に載せてたお話。
短いけど、これが全てです(笑)
書いてる時にすごく楽しかったのは覚えている。


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